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花粉症~改定版~

現在、日本人の約20%が花粉症だといわれています。
くしゃみに鼻水、目のかゆみ。頭がボーっとしたり、イライラしたり‥
花粉症の季節が近づくと憂鬱な気分になる人も多いはず。春を楽しく過ごすために、予防と対策をしっかり行いましょう!

★ 「花粉症」とは? どんな症状??

   スギやヒノキなどの植物の花粉が原因となって、くしゃみや鼻水などのアレルギー症状を起こす病気です。季節性アレルギー鼻炎とも呼ばれています。
(1) 私たちの体は、花粉という異物(アレルゲン)が侵入すると、まずそれを受け入れるかどうかを考えます。
(2)
 
排除すると判断した場合、体はこれを排除するための物質を作るしくみを持っています。この物質を「IgE抗体」と呼びます。
(3) 抗体ができた後、再び体内に花粉が入ると、鼻の粘膜にある肥満細胞の表面にある抗体と結合します。
(4)
 
その結果、肥満細胞から化学物質(ヒスタミン・ロイコトリエンなど)が分泌され、花粉をできる限り体外に排出しようとします。
肥満細胞:化学物質がいっぱいつまった顆粒で満たされている細胞。からだの肥満とは関係ありません。
 
花粉症は、よくカゼと勘違いされますが、「目の症状がある」(特にかゆみ)、「水のような鼻水」、「天気に影響される」(雨の日は症状が軽くなるなど)、「くり返す」などの症状が花粉症の特徴です。

★ どのような薬があるの??

(1) 抗アレルギー薬(遊離抑制薬)

   花粉飛散前に、予防薬としても使用されます。ヒスタミン、ロイコトリエン(下記参照)といったアレルギーの原因物質が体内に出てくるのを抑える働きがあります。効果が出始めるのは遅く1~2週間かかるので、早めに飲むことが効果的です。
 例:アレグラ、アレルオフ、インタール、クラリチン、セルマレン、リザベンなど
 

(2) 抗ヒスタミン薬

   くしゃみ、鼻水、かゆみなどを引き起こす「ヒスタミン」の働きを抑える薬です。効き目が現れるのは早いですが、眠気が起きやすいので車の運転や危険な作業をする人には注意が必要です。また、緑内障や前立腺肥大症の人には向かない場合がありますので、Dr.に相談して下さい。
 例:ポララミン、ゼスランなど
 

(3) 抗ロイコトリエン薬

   「ロイコトリエン」は鼻の粘膜にむくみを引き起こし、鼻づまりの原因となる物質です。この薬は、ロイコトリエンの働きを抑えます。
 例:オノンなど
 

(4) ステロイド薬

   別名を「副腎皮質ホルモン剤」といい、炎症を抑える強い働きがあります。他の薬では症状を抑えるのが難しい、重症の場合に用いられます。点鼻薬などの直接鼻に噴霧するステロイドは長期間使用しても副作用は少ないですが、ステロイドの飲み薬を長期間服用すると副作用が現れやすくなることがあるので、花粉症では1~2週間程度に限定して用いられます。
 例:点鼻:フルナーゼ、アルデシン 飲み薬:セレスタミン(ステロイド配合剤)など
 * 妊娠中や授乳中の方は必ず医師・薬剤師にご相談ください。

★ 花粉症はセルフケアが大切!!

●花粉情報をチェック

   テレビやインターネットで気象情報、花粉情報を入手して、花粉の多い日には外出を避けるか、十分な対応をとるようにしましょう。
 
花粉の多い日
 
・天気:晴れまたはくもり
・最高気温が高い
・湿度が低い
・やや強い南風が吹き、その後北風に変化したとき
・前日が雨 
 

●ドア・窓を閉める

   こまめに花粉の侵入を防ぐことも大切なポイントです。
 

●外出したら、洗顔やうがいを

   体に付いた花粉はきちんと洗い流しましょう。毎日の習慣として心がけましょう。
 

●洗濯物、布団にも注意を

   外に干した洗濯物やふとんは花粉をよく落として取り込みましょう。ふとんに花粉が付着していると、寝ている間に吸い込むことで症状悪化につながることがあります。
 

●掃除はこまめに

   室内にもかなりの花粉が侵入していますので掃除はこまめにしましょう。きれいな室内はダニアレルギー対策にもつながります。空気清浄機の利用も効果的です。
 

●外出時は完全防備で

   帽子、メガネ、マスク、マフラーを身につけましょう。コートもつるつるとした花粉が付着しにくい素材を選ぶとよいでしょう。
 

●玄関でシャットアウト

   衣服、ペットなどについた花粉は玄関ではらうなどしてシャットアウトしましょう。
 なるべく室内に持ち込まない工夫と努力をしましょう。
 
 また、アレルギー性の病気は、自律神経の働きのバランスがくずれた時に悪化しやすくなります。運動を積極的に行ったり、十分な睡眠をとる、ストレスを上手に解消するといったことも重要です。

★くすりは早めが肝心

   花粉情報をもとに花粉が飛び始める1~2週間前から、医師の診察と指導を受け、 抗アレルギー薬を予防的に服用し始め、花粉シーズン中も続けます。これによって、症状が現れるのを遅くしたり、症状を抑えたりすることができます。自分が「いつから、どの程度の症状が起こるのか」を把握しておくことが大切です。
 

「参考資料」

きょうの健康2001.2月号、マイファーマシー2005.1.20、
健康教育シリーズ(花粉症)、ポケット医薬品集2005年度版、
全薬工業株式会社ホームページ(花粉症を乗り切る!)
協和発酵ホームページ(花粉症ナビ)