【インフルエンザとは】
インフルエンザも通常のかぜと同じだと思っていませんか。インフルエンザは通常のかぜよりも症状が重く、重症化すると合併症を引き起こし死にいたることもあります。
重症化を防ぐためには初期症状のサインを見逃さないことが大切です。
【インフルエンザの型】
インフルエンザにはA型、B型、C型の3つの型があります。毎年流行を起こすのはA型とB型で、特にA型は感染力が強く広域に流行します。C型は流行性が無いといわれています。
インフルエンザと風邪の違い
インフルエンザと普通のかぜとは、ウイルスの種類や症状が異なります。
インフルエンザ | 普通のかぜ | |
発症 | 急激 | ゆるやか |
主な症状 | 発熱、筋肉痛、関節痛、頭痛など | 鼻汁、鼻づまり、咳、くしゃみなど |
発熱 | 38~40度(高熱) | 微熱~38度くらいまで |
合併症 | 肺炎、気管支炎、インフルエンザ脳症 | 細菌の二次感染(まれ) |
発生状況 | 流行性(12月~3月) | 散発 |
病原 | インフルエンザウイルス | 主にライノウイルス。 他にアデノウイルス、コロナウイルスなど |
合併症
インフルエンザは重症化すると肺炎、気管支炎、インフルエンザ脳症などの合併症を起こすことがあります。
※特に合併症に注意が必要な人
- 体力のない人:高齢者・・・肺炎に注意
- 乳幼児・・・脳炎・脳症に注意
- 抵抗力の弱っている人(免疫不全症・糖尿病・腎不全等)
- 呼吸器・循環器に疾患のある人(気管支喘息、肺気腫、心不全、弁膜症など)
予防 ~インフルエンザにかからないために~
【日常生活で気をつけること】

1. 栄養と休養を十分とる。
体力をつけ、抵抗力を高めることでかかりにくくなります。

2.人ごみを避ける。
病原体であるウイルスを寄せ付けないようにしましょう。

3.適度な温度(18~22℃)、湿度(50~60%)を保つ。
ウイルスは低温、乾燥を好みます。加湿器などで室内の湿度を適度に保ち、のどの乾燥を防いでウイルスの侵入を防ぎましょう。

4.外出後の手洗いとうがい手洗いは接触による感染を、うがいはのどの乾燥を防ぎます。

5.マスクを着用する。
罹患した人では、咳やくしゃみの飛沫から他人に感染するのを防ぐ効果もあります。
【ワクチン(予防接種)による予防】
インフルエンザの最も有効な予防法は、流行前にワクチン(予防接種)を受けることです。
ワクチンは接種してから効果を発揮するまでに、1~4週間かかります。インフルエンザの流行は12月~3月ですから、11月~12月中旬までに接種を終えておくとよいでしょう。

※ 卵アレルギーの人、予防接種でショックなどを起こしたことがある人、発熱や急性疾患にかかっている場合などは接種できないことがあります。
治 療
【まずはなるべく早く受診を!】
インフルエンザであるか、普通の風邪であるかによって治療が変わってくる場合があります。インフルエンザを重症化させないためには初期症状のシグナルを見逃さないことが大切です。
市販の風邪薬ではインフルエンザは良くならない場合があります。小児の場合、風邪薬や解熱剤を使うことで脳症を引き起こすおそれがあります。自己判断で薬を使うのはやめましょう。
【日常生活で気をつけること】
1. 安静にしてゆっくり休む
2. 水分を十分に摂る
汗で水分が失われたり、食欲不振で水分摂取量が減ると、脱水症に陥りやすくなります。水分はできるだけ摂りましょう。
3. 外出を控える
インフルエンザウイルスは咳やくしゃみで飛び散ります。周りの人にうつさないためにもきちんと回復するまで(解熱後2日)は外出を控えましょう。
【抗インフルエンザ薬】
抗インフルエンザ薬を使用することで、インフルエンザの重症化を防ぎ、回復までの期間を短くすることが期待できます。抗インフルエンザ薬は発症後48時間以内の投与だと解熱期間の短縮に効果があるといわれています。
インフルエンザの型によって抗インフルエンザ薬の選択は変わってくる場合があります。
<抗インフルエンザ薬の種類と特徴>
シンメトレル アマゾロン |
A型インフルエンザにのみ有効 主な副作用:睡眠障害、めまい、ふらつき、口渇、便秘など その他 :耐性(薬がウイルスに効かなくなること)が起こりやすい。 |
タミフル | A型、B型どちらにも有効。 主な副作用:腹痛、下痢、嘔吐 その他 :異常行動など未知の副作用が多い。 |
タミフルについて ~最近報道されている気になる症状~
最近、異常行動などの副作用が報道されて注目されています。タミフルと異常行動との関係がどのくらいあるのか、詳しいことはまだ分かっていません。タミフル服用1回目~2回目(インフルエンザ発症初期)に起こっていることが多いようです。従って、インフルエンザと診断されたらタミフルをのむ、のまないに関わらず、周囲の人(家族など)は注意深く見守る必要があると思われます。そして普段と異なるおかしな言動が現れた場合には、そばを離れず、速やかに医療機関を受診してください。
おかしな言動の例 □ 食べ物とそうでない物の区別が出来ない。 □ 幻覚、おびえ、恐怖感 □ 怒ったり、泣き出したり、にやりと笑ったりする。 □ つじつまの合わないことを言ったり、大声で訴えたりする。 □ 意識レベルの低下 |
【対症療法】
解熱剤
発熱は一種の防御反応ですので、安易に解熱剤を使用することでかえって症状が長引くことがあります。但し、発熱によって体や精神への負担が大きすぎる時や長い間高熱が続くときに、アセトアミノフェンなどの解熱剤を使用することがあります。
注意! インフルエンザに使用できない解熱剤
・ バファリン(アスピリン)
・ ボルタレン(ジクロフェナクナトリウム)
・ ポンタール(メフェナム酸)など・・・。
これらの解熱剤を15歳未満のインフルエンザ患者に飲ませると急性脳症を起こすおそれがあるため、投与してはならないことになっています。また成人でも同様の副作用を起こす可能性はあるのでなるべく避けるようにしましょう。
参考資料
薬と健康;第17号、インフルエンザ情報サービスHP、くすり箱189号、インフルエンザってなあに?、㈱エイトライフ~インフルエンザの治療について~、インフルエンザ対策最新マニュアル!