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高脂血症Part.2 治療薬を中心に…。

   高脂血症となる原因(コレステロールや中性脂肪が高い)や食事療法・運動療法・検査値の見方などの説明については『くすりと健康 No.9 高脂血症』に掲載しましたので、詳しくはそちらを参考にしてください。(必要な方はお申し付けください)
 今回は、高脂血症を治療するための薬についてまとめました。

高脂血症とは? 動脈硬化とは??

高脂血症は、血液中のコレステロールや中性脂肪(トリグリセリド)の量が多くなる病気です。
   コレステロールが多くなると、血管の壁にプラークという“おでき”のようなものができやすくなります。この状態が動脈硬化です。 コレステロールの多い人のプラークは、ストレスなどのちょっとした刺激でもすぐに壊れてしまいます。プラークの中に詰まっていたものが、血液と触れると急激に血栓という血のかたまりができ、血管を塞ぐようになります。そのため血液の流れが悪くなり、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などを引き起こしやすくなります。つまり高脂血症を治療するということは動脈硬化を予防することであり、同時に心筋梗塞や脳梗塞を未然に防ぐことになるのです。

薬を飲み始めるのはいつから?

   高脂血症と診断されたからといって、すぐに薬の服用を始めるわけではありません。まずは、食事療法や運動療法などの生活療法を行い、2~3ヵ月様子を見て、なおコレステロールや中性脂肪(トリグリセリド)の値が下がらない場合に、生活療法に加えて薬物療法を行います。
 ただし、「家族性高脂血症(遺伝的にコレステロールなどが高い)」の人や、生活療法がうまく行えない人、過去に心筋梗塞を起こしたことのある人などの場合は、すぐに薬を飲み始める必要があります。
表

どんな薬があるの?

主にコレステロールを下げる薬

(1)肝臓でコレステロールが作られるのを抑える。 …HMG-CoA還元酵素阻害薬
        (例:プラバスタチンNaアメル、メバロチン、リポバス、リピトール、リバロ)
(2)小腸からコレステロールが吸収されるのを抑える。コレステロールの排泄を促進させる。…陰イオン交換樹脂薬
         (例:コレバイン、クエストラン)
(3)悪玉コレステロールが酸化される(真の悪玉となる)のを防ぎ、コレステロールが血管に付着するのを防ぐ。 …抗酸化剤
        (例:プロブレタン、シンレスタール、ロレルコ)
 

主に中性脂肪を下げる薬

(4)肝臓で中性脂肪が作られるのを抑える。…ニコチン酸系
        (例:コレキサミン、ペリシット、バナールN、ユベラニコチネート、ユベラN、)…フィブラート系
        (例:ベザテートSR、ベザトールSR、リパンチル、リピディル)

薬を飲む上で注意することは?

   高脂血症の薬の副作用として、肝機能障害や筋肉障害などが現れることがありますが、医師の指示通りに服用して定期的に副作用をチェックしていれば、まず問題はありません。服用して少しでも気になることがあったら、医師または薬剤師に相談してください。副作用のほとんどは、薬の服用をやめれば改善されます。
 また、薬の飲み合わせで副作用が起こることもあるので、市販薬も含めて今、服用している薬をすべて主治医に伝えるようにしましょう。
 

薬の副作用

●肝機能障害
●筋肉障害
 (だるい・筋肉が痛いなど)
●便秘・下痢

薬の効果は?

   高脂血症の薬は、服用を始めて1ヵ月程度で効果が現れてきます。しかし、食事や運動などの生活療法をきちん行っていない場合や、糖尿病などの別の病気が原因で高脂血症になっている場合、また飲んでいる薬が自分に合っていない場合などは、コレステロールや中性脂肪の数値がなかなか下がらないことがあります。

よくある質問

薬で高脂血症を根本的に治すことはできるの?
薬を飲み始めたらずっと続けなければならないの?

最後に

   薬を飲み始めるとそれに頼ってしまいがちですが、生活習慣の改善(禁煙、飲酒量を減らすなど)や食事療法、運動療法などを続けることがとても大切です。それらを続けて行うことの効果は、コレステロールの合成や処理のシステムを調節し、正しい状態に戻そうというものです。
 薬を飲んでいるからと安心せずに、根気良く自己管理を続けて、じっくり治療して行きましょう。
 

<参考文献>

   ポケット医薬品集2004年度版、高脂血症をやっつけろ!(武田製薬工業)、高脂血症治療ガイドライン(日本動脈硬化学会)、高脂血症診療Q&A、健康のホームページ、山之内製薬資料