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禁煙外来

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   現在、禁煙外来は保険で受診することができます。指定を受けた医療機関においてですが、今までより安価に禁煙指導が受けられるようになりました。
 今回は「タバコ」と「禁煙」、そして「禁煙外来」についてご紹介します。

なぜタバコはいけないの?

   タバコの中には多くの有害物質が含まれています。それらは肺や気管支に悪影響を及ぼすだけでなく、血管を傷つけ、血管を収縮させる働きも持ちます。そのため肺がん・喉頭がん・狭心症・糖尿病といった様々な病気にかかりやすく、早期の死亡率も高まることがわかっています。
 その影響は自分にだけでなく、周囲の人へも及びます。(配偶者の肺がん死亡率の上昇・子どもの気管支喘息発症率の上昇など)また妊娠中の喫煙は胎児の脳を傷つけ、落ち着きがなくキレやすい子供に育ってしまいやすいともいわれています。
 
 こういったタバコの害についてはよく聞くと思います。それを聞いて、「禁煙したい!」と思っている人も実はかなり多いのです。
 
―――ではなぜタバコをやめられないのでしょう???―――

タバコがやめられない二つの壁

   その理由は身体的依存精神的依存の二つに分けられます。
 
 精神的依存というのは、喫煙が習慣になってしまっていて、「喫煙」という行動をやめることが難しい状態を言います。
 しかしそれ以上に身体的依存がタバコをやめることへの障害になります。
 
 タバコに含まれる「ニコチン」という物質は脳に一時的に刺激を与え快感をもたらします。それが急に切れると体がニコチンを欲し、様々な離脱症状(イライラする・頭痛・体がだるいなど)が現れてつらくなり、禁煙が続かないのです。

禁煙外来へ行ってみよう!

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   現在、いくつかの病院では禁煙専門の外来を設けています。そこでは医師の指導のもとに禁煙治療が行われます。どのような内容なのか見てみましょう。
 
 まず簡単な質問によって、ニコチン依存度を判定します。次に、吐く息の中の一酸化炭素濃度を測定し、タバコの有害成分がどのくらい体内に取り込まれているか調べます。禁煙意思を確認し、その人に合った禁煙方法を考えて、禁煙開始日を決めます。その後も数週間ごとに外来で禁煙状況を確認しながら、数ヶ月かけて禁煙を進めていきます。 
 
 ニコチンに対する依存度が高いほど禁煙時の離脱症状が強く出て、タバコをやめるのがつらくなってしまいます。そのつらさを軽くし禁煙をスムーズにさせるには、少量のニコチンを喫煙以外の方法で体内に補給させることが有効とされています。その方法として、ニコチンパッチやニコチンガムがあります。(パッチは保険が使えますが、ガムは自費になります)
 
 「禁煙サポートサイト」(http://www.e-kinen.jp/)で全国の禁煙クリニックが検索できます

ニコチンパッチとは?

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   少量のニコチンを含む貼り薬です。8週間かけて徐々にニコチン含有量の少ないパッチに変えていくことで、つらい離脱症状なしに禁煙することができます。ただし妊娠している方や治療中の疾患がある方は、パッチを使うことができない場合があります。必ず医師と相談してください。
 お薬代は、3割負担の方で1万円程度です。(注:禁煙外来のない病院だと保険がきかず、自費負担となり、お薬代が2~3万円かかります。)

タバコをやめるとこんなことが!

   タバコをやめることで、さまざまなメリットが生まれます。
 
(1)病気のリスクが下がる
 禁煙したその瞬間から、体は健康回復に向けて動き出します。
 
  (禁煙後20分)血圧・脈が正常に戻る→(24時間)心臓発作のリスクが減る→(2~3週間)呼吸が楽になり、肺活量が増加→(1年)心臓発作のリスクが半減→(5年)肺がん・脳卒中の死亡率が半分に減る(グラフ参照)
 
   その後も禁煙を続けることにより、10年後には死亡リスクが非喫煙者と同じ程度にまで下がります。
 
長期間タバコを吸っている人が今から禁煙しても遅くないのです。
 
(2)気持ちのいい生活がおくれる
 禁煙することで睡眠リズムや味覚・臭覚が正常に戻ります。目覚めがさわやかになったり、口の中がさっぱりしてご飯がおいしく感じられるようになります。
 
(3)お金が貯まる
 1日1箱吸うと、年間約11万円の出費になります。禁煙するとそれが手元に残り、10年続けると100万円以上得をします。
 
   禁煙治療中、「タバコを吸いたい!」という気持ちになることがあると思います。また、離脱症状が現れることもあるかもしれません。
 禁煙外来では、そのような時のアドバイスも行っています。
 ぜひ一度、禁煙外来へ足を運んでみてください。
 
参考文献
ノバルティスファーマ資料「ニコチネルTTS禁煙指導用チャート」・「禁煙治療チャート」
pharmavision Vol,91「禁煙補助薬と禁煙指導」 、日経メディカル2006,4